アルプホルンのマウスピース製作

マウスピースの形状と木の種類により音色や演奏にどの様に変化があるかテストの為、数種類製作してみました。

アルプホルンのマウスピース材質

アルプホルン製作の上で演奏・音色を考えるとマウスピースの役割がしめる部分が大変大きいことが判り
自作・テストすることにしました。作るにあたり以下の図の各項目を考慮して作ってみました。


スイス ストッカー社のマウスピース各部寸方を参考にして日本人に合うよう一部変更して製作
    

マウスピースの形状による変化

上図の各項目の簡単な説明   (各種資料や今まで私が作ってきた感想をもとにまとめました.)

リムの巾及び内・外側の丸みについて
   ・リムが厚く平坦な物は音程が安定、長時間吹いても疲れにくい
   ・薄いマウスピースははっきりした音が出やすいが、疲れやすい
   ・リムの内側が丸み帯びた物は音程を変えやすい(スラーなど)
   ・内側が角張っているタイプははっきりした音が出やすいなどの傾向があるようです。

カップの形状と深さ・径について
                    
   ・形状にはUカップとVカップがあり、アルプホルンではUカップに近い形が良く使われる。
   ・Vカップは特徴として息がそのままダイレクトに楽器に伝わる様な感じ、演奏時に抵抗感があまりない。
   ・Uカップは比較的音色もまろやかで伸びのある音が得られる。
   ・カップの深さについては、カップが浅いと高音が出しやすくなるが音が少し硬いようです。
   ・深いと中低音では迫力ある音になりやすい。アルプホルンは割りに深いタイプが良く使われる。
   ・カップの径が大きい物は大音量が得やすく、楽音の調整領域が広いが高音が出ぬくい。
   ・内径が小さいものは高音域が吹きやすいが、低音域で豊かな音色を出すのが難しくなる傾向があるようです。

セカンドカップとショルダーの丸みについて
   ・セカンドカップの部分が少ないマウスも有りますが、ある程度は必要な気がします
   ・ショルダーの丸みに付いても角張ったマウスも有りますが、息の通りからしても必要と思われる。
スロート
   ・スロート径が大きい物は低音域が、小さいものは高音域が吹きやすいようです。
   ・径が大きい場合大きな音が出やすいが、息の使う量が多く一息で吹ける音の長さが短くなる。

ボアについて
   ・ボアの絞られ具合とその後の広がり具合によって、吹奏感や音色に変化があるようです。
   ・ボアの形状により高音は出やすくなるが乾いた音になりやすい、又太い音にはなるが息が抜けてしまい
    体力がいるというように変わるようです。

シャンクについて
   ・楽器メーカーによってシャンク寸法に違いがある
   ・シャンク先端が3番管にある程度入り、確実にフィットし音が楽器に伝わるようにする必要があります
   ・シャンク先端に段差があることにより空気の流れに乱れが生じ演奏者の吹くときの抵抗感が逆に必要のようです。
      アルプホルンのマウス取り付け部分
アルプホルンの一般的各部のサイズ

 リムの厚さ

 3.5〜5.5mm   

 カップの径

 16〜19.5mm   

 カップの深さ

 20mm前後

 スロートの径

 3.5〜4.2mm    

 シャンク部入り深さ

 10mm前後


マウスピースの木の種類による音色の変化

マウスピースに適した木を選ぶに当たって
   ・まず第一に木の中を水分が通る導管の太さが細いこと
   ・導管が針葉樹の様に環状に有るのでなく散孔状に有ること
   ・木の質が緻密であること、この3つをほぼ兼ね備えた木で硬さと重さを変えてテストしてみました。

マウスピースの各部寸法は型を使い全て同一にしました。
   ・カップの内径  17.5ミリ   ・深さ  20ミリ   ・形状  U形を少しVに近く
   ・リムの巾     4.5ミリ
   ・スロートの径   3.8ミリ

アルプホルンマウスピース 紅木紫檀

紅木(紅紫檀)

紫檀

黒檀

タガヤサン(鉄刀木)

えんじゅ

かえで

山桜

もみじ

いちい

製作してみての感想
 音色に関する感想は演奏者・聞き手によって判断は難しく、又活字で表現することは大変困難ですが、木の種類により
 確かに音色の変化は顕著に現れます。
 硬く重い木はクリアーで遠くまで通る様な、しかし少し音色が硬く、長く聞いていると耳障りな時がある様な音の傾向。
 柔らかくて軽い木は、やはり音も柔らかでおとなしい傾向があります。
 私の個人的な音の好みは、おとなしく深みがある音。今回作った中ではえんじゅがそれに近い音色のようです。

 今まで多用していた山桜かえでの木は、やはりどんな場面でも使えるアルプホルンらしい音色のオールマイティーのよ
 うですが少し特徴がない。

 これからも木の種類を変え、いろんな人に試してもらい、データーを集めたいと思っています。
 その時は又ページをアップします。


マウスピース製作過程
 製作過程は、思考錯誤しながら今まで作ってきて、現在行っている方法です。これだけが正しい訳ではありません。
 これからも、変化して行くと思います。

約35ミリ角 長さ130ミリに切った素材を良く乾燥させ、センターに3.5ミリのロングドリルで貫通穴をあける。

穴の距離が長く、木の内部で穴が弓形になり易いので注意。

穴を開けて、弓形に成っていなければ、少々のセンターのずれはかまわない。

アルプホルンのマウスピース制作

木工旋盤で大まかな円錐形に削る。
ここで、外形を最後まで仕上げても良い。

私の場合、自作の倣い付きトリマーレースで外形を作っています。

木工旋盤で外形最後の仕上げを行う

切り離し後、自作の刃物でカップ部分を切削、予定寸法より小さめに。

自作の刃物とマウスピース

再度、木工旋盤に取り付けダイヤルゲージでセンターを確認後、カップ内部の旋盤加工

市販のテーパーリーマーをグラインダーとダイヤモンドやすりで再加工、テーパーと径を少しずつ変えた3本のリーマーを使用

スロートの直線部分を確認しながら、
3種類のリーマーを使いボアーの部分を完成させる。

最後に樹脂加工の後、ウレタン塗料で仕上げ。


マウスピース製作過程(2)

木工旋盤のチャックを新しく購入しましたので制作方法を少し変えてみました
以前は最初にロングドリルで貫通穴をあけていましたが真直ぐに開けるのは難しく、短いドリルで、後からあけることにしました。


  アルプホルンのマウスピース制作

  写真の様な角材の状態で良く乾燥したものを使用

 チャックで掴む処と、大体の形に加工

 チャックで掴み直し外形の仕上げまでを行う

 

  テーパーの下穴をドリルで開ける前に確 実にセンターを出すためにセンタードリルで センターをあける

  テーパー穴の下穴としてドリルの径を3〜4 回変えて開ける

 チャックに シャンクに合わせた治具を取り付 け、マウスピースをダイヤルゲージでセンタ  ーを確認しながら取り付け

     

  ドリルのセンターを出す為センタードリルを 使用

  スロートの穴3.5ミリをあける
 仕上げ前に好みの径に修正

  手作りの刃物を使いカップ部分を加工

   

  手作り刃物で加工した直後の状態

 この後旋盤加工にてスロートとカップ部分  を仕上げ
 ボアーのテーパーをテーパーリーマー で加工

  木固め材で処理後ウレタンニスで処理

  今回は古材で花梨の鴨居材を使用



作り方は、決まっている訳ではないと思いますので、手持ちの工具で工夫しても出来ると思います。
カップの内部を自作の刃物で加工していますが、旋盤のみでも出来ると思いますが、私の場合セカンドカップとショルダーの加工を正確に削る為使用しています。

マウスピースの製作は、これからも続けて行きたいと思っています。作るたびに新しい発見があります。


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